サンケイスポーツ、サンスポ
[コラム]


乾坤一筆
18日

2020年東京五輪で野球が正式競技として採用されるために、7回制が検討されている。

施設が整い、人気もある東京は野球競技が復活する大きなチャンス。国際オリンピック委員会(IOC)では、試合時間が長いことを問題視しているが、九回までやるのと七回までで終わってしまうのでは、競技としての性質が変わってしまう。

9回制でも試合時間を短くするためには、どうすればいいのか? まず、考えられるのは、投手がテンポよく投げ込むことだ。

今年の選抜高校野球を例にとってみると、抽出した6試合の平均時間は、1時間55分で両チームの投手の合計投球数平均は274球。東京六大学と東都大学野球の直近6試合は、2時間35分で合計投球数平均は290球、また九回で終わった16日のプロ野球5試合の平均は、2時間57分で合計投球数平均273球。イニング間の交代やサインの複雑さなどがあるにしても、2時間半以上の試合になると「長い」と感じてしまう。

どんどん打者に向かって投球するか否かが試合時間を左右することも分かっている。高校野球の投手で、走者がいない場合の1球ごとの投球間隔は、6秒から10秒、走者がいる場合は11-14秒がほとんど。大学野球では無走者で7-14秒、走者がいる場合は18-26秒、プロでは無走者で6-22秒、走者がいると16-29秒を計測した。

ゴルフ競技のようにスロープレー防止のため、時間制限を設け、違反すればペナルティーを科すものとは違う。本来、野球は、投手が打者が打ちやすいところに投げて始まったとされる。「どうだ! 打ってみろ!」と快速球を投げて打ちとろうとする。それを打者が打ち返す。その攻防でゲームが生まれた。

もちろん、真っ向勝負だけが野球ではない。が、まずテンポよく真っすぐのストライクを投げるという原点に立ったプレーが見たい。投手が「かわす、外す」中心で、打者が「(四球を)選ぶ」中心の長時間のゲームは見たくないし、してほしくない。

原点に戻ったプレー。それこそが、野球が五輪に復帰する近道のような気がする。 (赤堀 宏幸)


乾坤一筆(7日)
乾坤一筆(6日)
乾坤一筆(1日)
乾坤一筆(31日)
乾坤一筆(30日)

ページの上へ
コラムTOP
サンケイスポーツTOPへ

(C)産経デジタル