サンケイスポーツ、サンスポ
[コラム]


乾坤一筆
1日

いい番組だったので、"再録"しておきたい。

7月23日夜のニッポン放送『まいにちとことんプロ野球』。解説者の江本孟紀さん(サンケイスポーツ専属評論家)と松本秀夫アナウンサーによる、軽妙な掛け合いの番組で、サブタイトルが-。

『殿堂入りさせたい裏方さん』

裏方さんにスポットライトを当て、かつ出演してもらう、ユニークな企画だった。

登場したのは、元阪神トレーナーの猿木忠男さん。日本に初めてアイシングを導入した人だが、もんで治し、疲労をとる"業師"としても有名。江本さんが現役当時のトレーナーは1軍に1、2人で、若手がトレーナー室に入ってくると、ベテランに「お前どこが痛いんや」とスゴまれ退散。トレーナーにもんでもらえることがステータス。シビアな世界だったことがよくわかる。

元セ・リーグ公式記録員の河野祥一郎さんも出演。安打か失策かを瞬時に判定するため、早い時間から球場入りし、土や芝の状態をチェック。グラウンドキーパーからも話を聞いたという。安打なら打者の打率が上がり、失策なら投手の防御率が悪くならないケースもある。記録は選手にとって死活問題だけに、苦労がしのばれる。

元セ・リーグ審判員の平光清さん(故人)も選出され、巨人V9監督の川上哲治さんを唯一、退場処分にしたエピソードや、ジャッジのダンディズムなどが紹介された。

この企画、江本さんと松本アナが6月下旬に食事中、浮かんだもの。

「裏方さんの業績は球界の歴史のひとつ。それが忘れ去られ、継承されないことは、球界の損失じゃないか?」「それ、番組でやりましょう!」

即断即決、すぐ実現。ニッポン放送のフットワークのよさにも感心。

「野球ファンも、裏方さんがどうかかわっているのかを知れば、観戦の楽しみと深みが増すと思うよ」と江本さん。

ちなみに、江本さんが阪神で現役を引退した原因、『ベンチがアホやから野球ができへん』という有名な事件を、間近で見ていたのが猿木さん。その正確な発言を明かしてくれたことがある。

「くそ、ばか、何を考えとんねん、このくそベンチ」-。

談話は変化して報じられていたわけ。まさに球史の生き証人。裏方さんにもっと光を!!(内井 義隆)


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